夫婦の一方が離婚を希望しても、もう一方が離婚を希望しない場合があります。その場合には協議離婚はできず、裁判所の調停手続きでも離婚の合意には至らないでしょう。調停でも離婚が成立しなければ、離婚の裁判を申立て裁判所に離婚の是非を判断してもらうことになりますが、夫婦のいずれか一方が離婚を希望しているというだけでは離婚は認められません。
裁判で離婚が認められるためには、婚姻関係が破たんし回復の見込みがない状態であることが必要です。これを離婚原因といいます。具体的には、夫または妻が不倫している(不貞行為)、家庭内暴力を振るう(DV)、家に帰らず生活費も入れてくれない(悪意の遺棄・3年以上の生死不明)、強度の精神病にかかり回復の見込みがない等の事情があって、夫婦関係が元に戻る見込みがない状況にあることが必要です。
ほかに性格の不一致で喧嘩が絶えないことや正当な理由なく性交渉を拒否するなどが原因で夫婦関係が破たんしている場合にも離婚は認められます。
夫婦関係が破たんして修復不可能であることを推認させる重要な事情の一つとして別居があります。別居している夫婦には実質的に夫婦関係がなく、当人の意思としても夫婦関係を修復する意思のないことが強く表れるからです。
これら夫婦の関係が破たんしていることを裁判所で認定してもらうためには証拠が必要です。
別居については住民票を提出し、不倫であれば興信所の調査報告書を提出します。これらの家庭外での事情については客観的な証拠を得やすいのですが、家庭内での事情については客観的な証拠を得にくいという離婚特有の問題があります。例えば性格の不一致で喧嘩が多い、性交渉を拒否されるといったことは客観的な証拠を得ることが難しいでしょう。こういう家庭内の問題に関しては、相手とその話題を話し合い、会話の内容を録音しておくことが一つの方法です。問題を話し合うことで夫婦の仲が戻ることにも期待できますし、仲が戻らなくても夫婦の間の問題を会話として残しておくことが出来ます。
神奈川・横浜にお住まいの離婚をお考えの方はご相談ください。
]]>貯蓄型の生命保険や学資保険は解約することで返戻金を受け取ることができることから、これらの保険には財産価値があり、夫婦のいずれか一方が加入している生命保険や学資保険で婚姻期間中に支払われた保険料によって築かれた財産価値の部分は、離婚にあたって財産分与の対象となります。
結婚前から生命保険に加入している場合には、結婚前に支払った保険料の額と結婚後に支払った保険料の額に応じて解約返戻金額を按分して分与の額を決めます。
生命保険や学資保険を残しておきたい場合は、解約返戻金額のうち分与する額を相手に支払うという方法で合意します。
夫名義の学資保険がある場合で、妻が子の親権者となり学資保険を残したい場合には、契約者を妻に変更し、妻から夫に学資保険の解約返戻金のうち分与する額を支払うという処理を行います。
神奈川・横浜で離婚をお考えの方はご相談ください。
]]>
夫婦が結婚後に4000万円で購入した夫名義のマンションがあるとします。
購入にあたって夫が結婚前から持っていた預金から頭金として400万円を支払い、妻も両親から贈与された200万円を頭金として支払いました。
残りの3400万円は住宅ローンを組みました。
夫婦はローンを支払い続けていきましたが、途中で妻が出ていく形で別居となりました。
別居後も夫は住宅ローンを支払い続け、離婚する時点の住宅ローン残額は1500万円で、別居後に夫が支払った住宅ローンの額は300万円でした。
離婚時の不動産の時価額は3500万円でした。
以上の状況で、夫婦が離婚することになったときの不動産の財産分与の方法を考えてみます。不動産以外の預金等の財産はないものとします。
財産分与は夫婦が婚姻期間中に築いた財産を離婚にあたって清算する手続きですので、不動産の価値のうち夫婦が婚姻期間中に築いた財産の部分を分けることになります。
現在の不動産の時価額は3500万円ですが、住宅ローンの残りが1500万円あるので、実際の資産価値は2000万円です。
そのうち、夫が結婚前から持っていた預金で出した頭金や妻が両親から贈与されたお金で出した頭金によって形成された資産価値部分は、夫婦がその婚姻期間中に二人で築いた財産には当たらないため、これをマンションの資産価値から控除します。また、別居後に夫が払った住宅ローンによって形成された資産価値部分もマンションの資産価値から控除します。
このように考えると、妻が離婚にあたってマンションから受け取ることのできる財産分与の額は、
(3500万円-1500万円)×(200万円+2000万円×1/2)/(200万円+2000万円+400万円+300万円)=827万5862円
となります。
神奈川・横浜で離婚をお考えの方は一度ご相談ください。
神奈川・横浜で離婚をお考えの方は一度ご相談ください。
]]>離婚の財産分与にあたってどのような税金がかかるでしょうか。
財産を受け取る側にかかる税金には次のものがあります。
贈与税
基本的に財産分与にあたって贈与税はかかりません。
財産分与は夫婦が婚姻期間中に二人で築いた財産を清算する手続きだからです。
但し、二人で築いた財産の清算という財産分与の趣旨を大きく超えるような財産の譲渡が財産分与としてなされた場合には、通常の財産分与の額を超える部分については実質的に贈与であるとみなされ贈与税が課税される場合があります。
例えば、夫婦で築いた財産が夫名義の自宅だけであり他に財産がない場合に、夫が妻に自宅を譲渡すると、自宅の価値の2分の1を超える部分については贈与であるとみなされる可能性があります。
財産分与としての自宅の譲渡が贈与であるとみなされる場合でも、20年以上の結婚期間があれば、最高で2000万円までの配偶者控除が受けられますので、詳しくはご相談ください。
不動産取得税
財産分与として土地やマンションなどの不動産を譲渡する場合、不動産を受け取る側には不動産取得税がかかります。
不動産取得税も居住用の不動産に対しては軽減措置が適用されるケースがあります。
登録免許税
不動産の譲渡を受けるにあたって登記簿上の所有名義を変更する必要があり、このときに登録免許税がかかります。
財産を渡す側にかかる税金には次のものがあります。
譲渡所得税
財産分与として土地や建物を譲渡する場合に、その土地や建物が購入時の価格よりも値上がりしている場合には、その値上がり部分について譲渡所得税が課税されます。
譲渡所得税も居住用にしていた不動産であれば軽減税率の特例が適用されるケースがあります。
離婚にあたっては、特に不動産を譲渡する場合には、どのくらいの税金がかかるかを調べて財産分与を話し合った方がよいといえます。
神奈川・横浜で離婚をお考えの方は一度ご相談ください。
]]>年金には国民年金、厚生年金、国民年金基金、企業年金、個人年金等があります。
国民年金は20歳以上60歳未満の全ての国民が加入する年金であり、いわゆる年金の1階部分にあたります。
厚生年金は、サラリーマンや公務員等が加入する公的年金(平成27年より共済年金は厚生年金に統一されました)であり、国民年金の上乗せ部分(2階部分)になります。
国民年金基金は、サラリーマンとの年金受給額の差を是正するために創設された年金制度であり、厚生年金と同じく国民年金の上乗せ部分(2階部分)になります。
企業年金や個人年金はこれら厚生年金や国民年金基金の更なる上乗せ部分(3階部分)となる年金です。
年金分割制度とは
年金分割制度は、厚生年金の分割を定めた制度です。
例えば、夫がサラリーマンで、妻が専業主婦である夫婦の場合、婚姻期間中に妻の家事・育児による協力があって夫が外で十分に働くことが出来たことから、離婚にあたっては夫の給料によって形成された財産は二人で分けるのが公平との考えにより、国民年金の上乗せ部分である厚生年金も二人で分けることとしたものです。結婚期間中の厚生年金の納付記録を夫婦それぞれに分割することによって、分割を受ける人自身の納付記録となるため、年金受給開始時に当然に自身の年金として受け取ることができます。
年金分割請求の手続き
年金分割請求の手続きは年金事務所で行います。
年金事務所での分割手続きの前にすることとして、年金の分割割合を当事者間で合意しなければならず、合意がまとまらない場合には裁判所に分割割合を決めてもらいます。裁判所の手続きでは基本的に分割割合は2分の1とされます。但し、平成20年4月以降に結婚した夫婦で一方が専業主婦・主夫である場合には合意がなくとも当然に2分の1の割合での分割手続きができます。
また、年金分割の手続きは、原則として離婚後2年以内に行わなければなりません。当事者間の合意や裁判所による分割割合の決定があるだけでは足りず、離婚後2年以内に年金事務所で手続きを行わなければならないので、この点も注意が必要です。
厚生年金以外の年金の分割
厚生年金以外の年金には現在のところ年金分割制度はありません。そこで、国民年金基金、個人年金、企業年金等については、婚姻期間中に支払った年金保険料の額を考慮して、預金や不動産等の財産分与の額を決めるという方法で公平を図ることになります。
神奈川・横浜で離婚をお考えの方はご相談ください。
]]>財産分与とは、夫婦がその結婚期間中に協力して築いた財産を離婚にあたって二つに分けることをいいます。これを清算的財産分与と呼ぶこともあります。
例えば、夫がサラリーマンで妻が専業主婦である夫婦が結婚期間中に夫が働いて貯めたお金で住宅を購入したとします。夫が働いて貯めたお金で買った住宅ですが、夫が外で十分に働くことができたのは、妻が家事をして、育児をして、夫を支えたからであることから、離婚にあたって、妻は住宅の半分をもらう権利があるのです。
このとき実際に住宅を半分に割ることはできませんから、住宅を売却してその売却代金を二人で分けるか、住宅の時価相当額の半分を妻に支払うなどにより清算することになります。
このような考えにより財産分与の割合は、通常2分の1とされ、二人が婚姻期間中に築いた財産を概ね2分の1になるように分けます。
例えば、婚姻期間中に築いた財産として、夫名義の3000万円の住宅、夫名義の1000万円の預金、妻名義の300万円相当の自動車、妻名義の500万円の預金がある場合には、婚姻期間中に築いた財産は4800万円となるので、これを2400万円ずつになるように分けます。妻自身の名義の財産は総額800万円ですので、あと1600万円不足しています。そこで夫は住宅を売却するか、住宅を担保に借入するなどして1600万円を工面して妻に支払うことで清算します。
神奈川・横浜で離婚をお考えの方はご相談ください。
]]>話し合いによっても離婚が成立しない場合、あるいは相手と話し合える状況ではない場合には、裁判所の手続きによって離婚を求めます。すなわち離婚調停や離婚裁判です。
裁判所の離婚手続きでは、まず離婚調停を先にしなければなりません。
離婚調停とは、裁判所を介して離婚の話し合いを行う手続きのことで、決められた期日に裁判所に夫婦双方が出頭し、調停室と呼ばれる部屋に交互に入って、調停委員に離婚を求める理由や希望する離婚条件などを話します。調停委員は夫婦のそれぞれから個別に話を聞いて、お互いが納得する離婚条件を見つける仲介をします。お互いが納得する離婚条件が見つかれば離婚が成立します。
この離婚調停でも話し合いがつかず離婚が成立しない場合には、離婚を求める方は離婚裁判を起こして離婚を求めます。
離婚裁判とは裁判所が離婚事由の有無を判断し、離婚事由があると認められれば、判決により離婚が成立します。このとき裁判所は親権者、養育費、財産分与などの離婚条件を合わせて決めてくれます。離婚事由とは夫婦の関係が破たんしていて修復不可能であると認められる事情のことで、例えば相手が不倫をしているとか暴力を振るうなどがあります。
ここで注意が必要なのは、裁判で離婚が認められるには、相手が離婚自体は承諾しているか、若しくは離婚事由のあることが必要であるということです。つまり、相手が離婚自体を争っており、かつ離婚事由もない場合には離婚は認められません。
離婚調停ではお互いが合意すれば離婚は成立するので離婚事由の有無は問題になりません。この点が離婚調停と離婚裁判の大きな違いの一つです。そのため、離婚調停の段階で話し合いでの解決を簡単にあきらめて離婚裁判に進むのではなく、なるべく離婚調停で譲歩できるところは譲歩して離婚を成立させた方が良い場合もあります。
神奈川・横浜にお住まいの離婚をお考えの方はご相談ください。
]]>]]>